一瞬死ぬかと思った
久しぶりに背筋が凍った。
深夜なので車通りも少ない。
青信号になって横断歩道を真ん中あたりまで歩いた頃だろうか。
向かいから右折してきた車がまっすぐ自分の方に向かってきた。
んっ?!なんかおかしくない?
普通減速するはずが、いっこうにスピードを緩めずこっちに向かってくる。
歩行者に気づいてない様子。
このまま行ったら絶対ぶつかる。
その瞬間、久しぶりにめっちゃ頭で計算した。
走って渡り切った方がいいのか、後ずさった方がいいのか。
選択したのは後者。
今思うとけっこうこっけいな動きだっただろう。
でもその瞬間は必死だった。
あわてて3、4歩下がる。
車も直前で気づいたのか急減速。
ぶつからずに済んだ。
ドライバーと目が合う。
なんか笑ってるような不敵な表情。
何お前?!
と思ったけど、次の瞬間、車は去って行った。
なんかむかつく。
車に蹴りでも入れたらよかったかな、とか考えたけど、飲酒運転とかでかえって絡まれても嫌だし、ただ去って行く車をちらっと睨んで再び歩を進めることにした。
それにしても冷静になると、その一瞬の危険に改めてぞっとさせられた。
事故で負傷する危険、下手をすると死に至るかもしれない危険に、思いがけず直面する可能性があることを思い知らされた。
ましてや、車は一瞬にして人を殺められる凶器。
自分が被害者になって死んでしまったらそれまでだけど、家族とかは辛いだろうなあ、万一加害者になってしまうと、自分の人生も周りの人生も変えてしまうかもなあ。
後になって取り返しのつかないリスク。
それだけはやっぱりどこか頭の片隅にとどめて、少しの行動に結びつけながら、日々無事であることの幸せを噛み締めたいと思った夜だった。