エボラ出血熱研究の第一人者に学ぶ、正しいエボラの知識
職業柄、世界のいろんなニュースや事象が僕らの事業のきっかけになるので、いろいろ薄く広く知っておかないといけない。
そんな中、今年世界中で話題を振りまいた(といってもあまりうれしくない方で)感染症は、もしかすると世界流行語大賞ノミネート候補かもしれない。縁起でもないが。
昔ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」という映画があったが、まさに今年それが現実の世界で起きた。
それがエボラ出血熱。
グローバルに人が行き来する時代、遠いアフリカの地での流行も他人ごととは言えない。
幸いアウトブレイクにならなかったが、事実アメリカやスペインでも発症者が出た。
世界中を未知の恐怖に陥れたエボラ出血熱について、アメリカ陸軍でエボラ出血熱を研究する最高責任者が先日来日した講演会で、正しいエボラの知識を教えてくれました。
せっかくの情報なのでみなさんにもご紹介。
1.エボラ出血熱ってどういうもの?
・西アフリカを中心に猛威を振るった感染症。
・2014年の発症例での致死率は50%を超える。
・40歳未満か40歳以上かにより、致死率が大きく異なる(後者の方が高い)
・ウィルスは糸状ウィルス(filovirus)であり、昔旧ソ連が生物兵器として研究していたことがある。
・エボラがここまで致死率が高いのは、糸状ウィルスの性質により、免疫力の低下、炎症の発生などを起こすから。
・エボラは一つの分子が死を招く。これは、インフルエンザウィルスの1,000個分の分子のインパクトに相当。
・感染源としては、コウモリなどのほか、ヘビやネズミの可能性も。
・感染経路として、空気感染の心配はほとんどない。
2.どうしてここまで流行してしまったのか。
・西アフリカで初の流行で、住民の理解や医療従事者の経験が不足。
・また、もともと保健システムがぜい弱で、流行3か国の医師の数は、住民10万人あたりわずか1~2名程度。
・感染防止の知識や習慣(石鹸やアルコールによる手洗い、医療廃棄物の処理など)が不足、診断能力も不足。
・埋葬の慣習などがあって、コミュニティーの曝露レベルが大きい。
・地方に限らず都市部での感染が発生。
・国境を超える人の移動が頻繁。
・各国の対策への本気度が薄かった。
3.どうやったら治るのか(治療薬・ワクチンのこと)
・現在開発されている治療薬やワクチンについて、万能薬はない。
・候補としては、インフルエンザに効果のある富山化学のアビガンや米国製のBCX4430があるが、まだ実用化への道のりは長い。
・ワクチンも、まだ臨床試験のフェーズ2まで達したものがないため、どのタイプ・製品がよいのか、判断できる状況ではない。