実は妻がアレでして
妻はやっぱりアレだ。
今日仕事も普通に終わり、まっすぐ家に帰る日。
なんとなく帰るコールをしてみた。
いつもなら「はいよ」で終わる、あってもたまに買い物を頼まれるぐらいのやりとりだけど、今日は違った。
さて、電話でのやりとり。
とにかく今日は大変だったらしい。
いかに大変だったかをとうとうと語り出す。
「電車乗り間違えちゃって、五反田に行っちゃってー」
まあ、それぐらいなら普通にやりかねないし驚きもしない。
その友達は確か世田谷区だったかな。
「で、スマホの電池が切れちゃって、どうやってたどり着いたらいいかわからなくてー」
と、この辺りから片鱗を見せ始める。
「iPhoneに住所とか電話番号とかあるからわかんなかったんだけど、かすかな記憶を頼りになんとかマンションまで言ったのよー」
おぉ、やるやん。
「でも、マンションの部屋番号わからなくて、管理人のおじさんに友達の名前言って部屋番号教えてって頼んだんだけど、『最近は詐欺とかあるし個人情報は教えられません』って断られちゃって〜」
まあ、そらそうよねえ。
「私決して怪しいものじゃないんです、とか言ったんだけどダメで、、しかも大沢親分みたいな超頑固親父でめっちゃいかつくて怖かった」
確かにケーキの紙袋持ったどうってことない、いやむしろ相当すっとぼけた奥さん風な人見ると、まあさすがに詐欺師とか思わんだろうけど、やっぱり昨今個人情報には非常に厳しいようで。
いや、意外とこういう一見警戒心ゼロになりそうな、むしろ被害者になってそうな人だからこその新手の詐欺というのも十分考えられる。
ボケボケ詐欺とか。
「公衆電話でも行って、自分で確認してください、とか言われてさー、でも電池切れててわかんないし。だからポストのところ行って見たのよ、でも名前載ってなくて。」
こういう七転八倒みたいなのは僕は基本しないタイプなので、もうすでに突っ込みどころ満載でお腹いっぱいな感じだけど、この辺りから本格的におもしろくなってくる。
「しばらく探してたらさっきのおじさんが回覧か何か入れにポストのとこ来たのよ。おじさん怖いけどやっぱりダメですか、とか相当粘ったんだけどやっぱり教えてくれなくて。」
まあ、向こうも引くに引けないだろう。
「名前の載ってない部屋番号のところ、一つずつピンポンしてみたらいいですかねえ、とか聞いてみたんだけど、やめてくださいって言われて」
って、そらあかんやろ!
詐欺以前に迷惑行為で捕まるわ。
と、さらに盛り上がってきたところだけど、電車に乗るところだったので、「後で聞くわ」といったん切り上げる。
しかし結末が気になる。
まあ、話しぶりからして会えずに帰ってきたというオチでもなさそうだし、なんとなく解決したんだろうけど。
しかしアレだ。
やっぱりうちの妻はアレすぎる。
出会って17年、こういうドタバタは数知れず、出会う前から数々のおっちょこちょい伝説を作ってきたので、本当に生粋のアレだ。
たまにキム兄ばりに今でも「えぇ〜!!」ってなるときあるけど、まあそういうことをひっくるめて一緒になったわけで、文句言っても変わらないものは変わらない。
今はとにかく火事と人を轢くことだけはやめてと、相当期待値を下げている。
というより、こんな女性と寄り添い続けられるのも俺ぐらいじゃない?!とたまに自惚れてみたりするあたり、きっと自分も相当救いようのないアレだろう。
こういう女性と望んで一緒になったんだ。
バカも一蓮托生。