マルチタスクは一見仕事してそうで、実はそうでもないらしい。
いつからかと言われるとたぶん10年前からだろう。
それまでは仕事で夜遅くまでいるのなんて考えられない、むしろそれが嫌で転職したぐらいだから、毎日自分が深夜まで働くなんて想像もしてなかった。
でも2004年から2年間の省庁への出向時代、見事にそれを覆された。
毎日やること満載、しかも時差の関係とかで明日朝までにという締切案件ばかりだった。なのに幹部は細かいところまで詰め詰めなので、決断は早いけど、そこに至るまでの下っ端としての準備が半端ない。
そんなこんなで毎日終電という状況だった。
そんな毎日が続くと人間って不思議なもんで、長時間労働に自然に適用したライフサイクルになる。それがいいことじゃないことはわかるけど。
そんなこんなの2年間を終えたのは良かったけど、一つ残念なことが残った。
毎日押し寄せる仕事を同時並行的に進める能力はついた。でもその分、思考が浅く、記憶力も衰えた。
マルチタスクをこなす仕様に変わったことで明らかに脳の能力も変わってしまった気がする。
言うなればハードディスクを犠牲にして、毎日目一杯メモリをフル稼働させてる感じ。
だからたまに一度に扱う作業が多すぎてパンクすることがある。
一週間の休暇明け、やること満載で昨日久しぶりにパンク状態になった。
いろいろ片付けないといけないのはわかってるのに、それを同時並行でやってしまう。一つ一つ片付けていけばいいのに、ドキュメントを作る途中でメール見たり、別件で電話したり、会議から帰ってきたらまた別のことを始めたり。。
結果的にいろんなことが片付かないまま時間だけが過ぎますます焦る。
ひどい時は左の書類を右に移動させて、しばらくしてまた左にやったり、といったこともあった。
明らかに能率が落ちてる。
調べるとマルチタスクは結構いろんなところで、生産性を下げると批判されてる。
脳のいろんなところを必死に切り替えて別の作業モードに合わせたりしてくれてる。結果的に記憶力も能率も落としている、ということが科学的に検証されてる。
しかもマルチタスクをしてしまうのは、俺ってめっちゃ仕事してる、的な一種の高揚感を得るからでもあるらしい。
実際にはそれほど能率的でないにも関わらず。
だから、意図的にこの高揚感とは決別しないといけないんだろう。
一つだけ効果があるかもしれない、自分なりの工夫。
明日のto do listを前の日帰る前に書く。
これだけなら多くの人がやってるだろう。
でも列挙するだけならその日結局片付かないことが多い。
だから自分の場合、順番と所要時間まで考える。
会議があるならその時間と準備、フォローアップも含め。
そうすると、たとえ5分10分の合間でも、この時間には何をしないといけないかがより明確になり、そのことだけに集中しやすくなる。
要はマルチタスクを意図的に順番に並べ、たとえ短時間でもその間、ひとつのことに集中するようにする。
あとはこれを、「どうしても今日中に片付けないといけないこと」だけに絞り込む。
そうすると毎日帰るころ、仕事をこなしたのではなく、進めた、というプチ満足感も得やすくなってなお良しだ。
まあ本当にすごい人は、この程度の次元じゃないところで仕事してるのかもしれないけど、少なくとも仕事上のストレスは少しだけ減らせる、気がする。